東京)太宰の作品名の魅力に迫る 三鷹で企画展

河井健
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 東京都三鷹市太宰治文学サロン(下連雀3丁目)で企画展「コピーライター 太宰治」が開かれている。今年が生誕110年。時代を超えて読み継がれる作家・太宰治(1909~48)の魅力的な「作品名」に着目し、現代で言うコピーライターとしての太宰の才覚に迫る企画だ。

 青森生まれの太宰は疎開した一時期を除き、39年から愛人と玉川上水で心中する48年まで三鷹で暮らした。妻の美知子は「回想の太宰治」(78年)で、太宰は長きにわたって仕送りを受けていたと振り返り、「ペン一本に頼る生活には不安な様子であった」とつづっている。サロンによると、作家にとって作品名は「食べていく」ための「魅力的な商品名」で、読者の目を引くタイトルをつけた太宰は「秀逸なコピーライター」でもあった。

 戦後の没落貴族を描いたベストセラー「斜陽」(47年)は、没落階級を意味する「斜陽族」という流行語を生んだ。また、「走れメロス」(40年)はタイトルを命令形にすることで、読者が作者と同じ目線に立ち、主人公を応援する気持ちにさせられるという。学芸員の吉永麻美さんは「タイトルに込められた思いをくみとることで、作品の世界が広がります」と話す。

 「斜陽」や「人間失格」の複製原稿、「走れメロス」の初出誌など約20点を展示。12月15日まで。午前10時~午後5時半。無料。原則として月曜日は休館。問い合わせはサロン(0422・26・9150)へ。(河井健)

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