中朝会談に潜むそれぞれの「対米カード」 習主席訪朝

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北京=冨名腰隆 ソウル=神谷毅
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 中国の習近平(シーチンピン)国家主席が20、21日、北朝鮮の平壌を訪れ、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長と会談する。中国の最高指導者の訪朝は14年ぶり。今月末に大阪での主要20カ国・地域(G20)首脳会議を控えた時期の訪問には、対米牽制(けんせい)の狙いがにじむ。中朝の蜜月アピールの背景には、それぞれ抱える事情がある。(北京=冨名腰隆、ソウル=神谷毅)

 中国外務省の陸慷報道局長は18日の会見で、「習主席の訪朝を『取引手段』と捉えるのは考え過ぎだ。中朝には伝統の友好関係があり、訪問の意義を軽く見ないでほしい」と主張。今回の訪朝が、G20でのトランプ米大統領との首脳会談を見据えたものだという見方を打ち消そうと努めた。

 だが、発言を額面通りに受け取る向きは少ない。

 中国は米国と通商紛争を繰り広げ、中国通信機器大手の華為技術ファーウェイ)への米国の輸出規制でも対立を抱える。米国から、香港で起きた大規模デモを通商交渉に絡められることへの懸念もある。

 中国にとって北朝鮮との関係は、そんな八方ふさがりを打開する対米カードになりえる。北朝鮮の非核化について、米中の方法論は異なるものの、最終目標は一致するためだ。習氏が正恩氏との会談で米朝協議への支持を表明し、協力姿勢を示せば、悪化する米中関係を改善する助けになる。

 習氏はこれまでG20での米中首脳会談について沈黙を貫いてきたが、18日にはトランプ氏と電話協議。「中米関係の発展に関わる基本的な問題について意見交換したい」と会う意向を表明した。

 今回の平壌での中朝首脳会談は、正恩氏にとっても対米交渉カードになる。

 米国との非核化協議が停滞す…

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