鳥取)愛された「スラーメン」に幕 人気漫画にも登場
鈴木峻
鳥取市役所(尚徳町)に小さな食堂がある。豊富なメニューと手ごろな価格で多くの市民に親しまれ、代表的なメニューの「スラーメン」は人気漫画にも登場した。今秋、市役所の移転とともに閉店する。
市役所2階の一角に食堂はある。壁にはカツ丼やそばなど約30種類のメニューが張り出され、座席数は28。昼時は市職員が列を作り、昼休みが終わると、高齢者や親子連れも訪れる。現在の食堂は、現庁舎ができた1964年に開業し、91年からは市内で仕出し料理店を営む富士割烹(かっぽう)が運営する。
「スラーメン」はうどんのスープに中華麺を入れたもので、素ラーメンの意味。戦後に市内の飲食店が考え出したとされ、各店がアレンジし、地元の味として親しまれるようになった。富士割烹の尾崎成美会長(70)によると、だしに使うのは煮干しとカツオ、昆布だけ。合成調味料を使わないため、あっさりした薄味に仕上がる。多い時には1日30~40食出ることもあるという。250円の価格も30年前から変えていない。採算は取れないが、「味も値段も魅力の一つ」と出し続けてきた。
スラーメンは、久住昌之さん…