心に寄り添いピント合わせる 被爆者の心情写す米写真家

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田部愛
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 強いまなざしで空を見上げる女性――。世界の戦争被害者のポートレート(肖像写真)を撮影している米国人の写真家、ポーレ・サビアーノさん(44)が写す被爆者の姿は力強い。「内側の感情を表現したい」。作品のうち15点が今月から、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館で常設展示されている。

 ポーレさんは米ニューヨーク在住。もともとはロックミュージシャンやファッションなどスポットライトの当たる華やかな世界を撮ってきた。約10年前から、広島や長崎の原爆、東京やドイツのドレスデンの空襲など150人以上の戦争の被害者のポートレートを撮影。「FROM ABOVE」と名付けたプロジェクトとして、世界で写真展を開いている。

 きっかけは2007年。ダンサーの写真展のため訪れた東京で「長崎や広島に行けば被爆者と会える」と聞いた。米国で生まれ育ったポーレさんが学校で学んだのは原爆の日付や亡くなった人などに関する簡単な事実や統計だけ。きのこ雲の下にいた個人を想像させるようなものはなかった。生存者がいたことや、その後も人生を歩んでいることが衝撃的だった。

 追悼平和祈念館に連絡し、0…

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