ゲゲゲの女房、朝な夕なに思う「体を洗ってあげた」日々

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聞き手・奥平真也
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また2人で暮らせるねって言ってたのに

 ご縁があって本当に幸せでした――。漫画家の水木しげるさんが93歳で亡くなって3年半、妻の武良布枝さん(87)はそう振り返ります。水木さんと初めて出会ったときの思い出や、苦楽をともにした極貧時代、亡き夫への現在の心境を、「ゲゲゲの女房」に聞きました。(聞き手・奥平真也)

〈むら・ぬのえ〉 1932年、島根県大塚村(現安来市大塚町)生まれ。61年に29歳で結婚し、安来から上京。2008年、初エッセー「ゲゲゲの女房 人生は……終わりよければ、すべてよし!!」を出版。10年にNHK連続テレビ小説でドラマ化された。

墓前で語る、大切なとき

 長くいた者がいなくなると寂しいですわ。100歳まで生きると思っていましたけど、ころっといってしまいましたからね。

 《布枝さんの自著「『その後』のゲゲゲの女房」によると、水木さんは14年12月に肺水腫などのため入院。いったん退院したが、15年11月に柱に頭をぶつけ、病院へ搬送されたが、意識がはっきり戻ることのないまま息を引き取った。》

 退院後、水木はリハビリを頑張っていました。でも15年の初夏に私が庭で転んで足を骨折して入院してしまいました。9月には退院しましたが、ようやくまた2人で一緒に暮らせるねって言ってたのに。

 水木が亡くなる少し前、目が動いたことがありました。言葉は発しないけど、私がベッド横で動いたら、確かに私を目で追ってくれました。何を考えていたんだろうなって思うけど、戦争で(戦友が)みんな命を落としたのを自分は生き永らえ大きな仕事をやりとげたから、満足した人生じゃないかと私は思ってね。

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 病院から延命するかどうか聞…

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