国産ウイスキーの魅力伝える 福岡のバーテンダー翻訳

小田健司
【動画】バーテンダー、日本産ウイスキーの魅力を伝える洋書を和訳=小田健司撮影
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 世界で評価される国産ウイスキーについて記した米国の書籍の和訳「ウイスキー・ライジング」が出版された。出版に奔走し、翻訳者としてかかわったのは、福岡市内でバーを経営する住吉祐一郎さん(50)。「この本でウイスキーの魅力を伝えたい」と語る。

 近年のハイボールブームを仕掛けたサントリーを創業した鳥井信治郎。ニッカウヰスキー創業者で「日本のウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝。2人の歩みから始まる専門書は、東京在住のベルギー人で、ウイスキー関連のライターとして知られるステファン・ヴァン・エイケンさん(43)が執筆した。

 原著の出版は2017年春。ステファンさんと親交があった住吉さんは、内容の充実ぶりに驚いた。日本のウイスキーの歴史から蒸留所の詳細な情報、バーの紹介を網羅。外国人による著作に悔しさも感じた。

 ほどなく、中国語やドイツ語で翻訳されるという情報に接した。「日本語訳は?」。SNSを通じてステファンさんに聞くと、「してもらっても構わない」。

 出版社を探したが、出版不況のうえ、専門書は特に敬遠されていた。小学館に勤める旧知の編集者で、ウイスキー関連の著書もある山岡秀雄さん(60)に相談。翻訳経験が少しあり、オーストラリアの大学を卒業して英会話は堪能という住吉さんの熱意が買われ、山岡さんから共訳者として約380ページの半分以上を任された。

 福岡市のバー「ライカード」での仕事の前後、翻訳に一日8時間ほどを割いた。英語を日本語に置き換えるだけでなく、文献にあたって事実関係を確認し、情報更新のため取材に出た。山岡さんの助言を受け、昨年11月、1年ほどかけて発刊にこぎつけた。

 住吉さんは「これほど包括的に日本のウイスキーの情報を発信する本はほとんどない」と話す。4200円(税別)。全国の大手書店などで扱われている。(小田健司)

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