事件は「処刑」で終わらない 元オウム法廷記者の思い

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 宗教に名を借りて社会を標的に無差別大量殺人テロを仕掛け、君臨しようとした男。オウム真理教「教祖」松本智津夫麻原彰晃)死刑囚らの死刑執行を聞いて改めて思うのは、一連の事件を弟子たちのせいにして、最後はひたすら沈黙の砦(とりで)の中に逃げ込んだこの心貧しい男の率いる集団の暴走を、なぜ私たちは許してしまっていたのか、という痛恨の思いだ。

 裁判の一部始終を傍聴してきて私が今も鮮明に思い出すのは、初公判から半年後、高弟たちが教団の武装化の歴史について証言を始めたことにすっかり動揺した「教祖」が、法廷で騒いで最初に退廷させられたとき、興奮して裁判長に向かって叫んだ言葉だ。

 「私はあなた方に従う魂じゃない」

 「これは裁判じゃない。(ここは)劇場だ」

 修行を通じて自分は「最終解…

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