野党分裂に助けられた政権 年金法案衆院通過 内閣不信任は見通せず
30日に野党第1党・立憲民主党の賛成を得て衆院を通過した年金改革関連法案。残る会期が3週間余りとなる中、政府・与党内では、与野党の対決ムードがいったん和らいだと歓迎する声も広がるが、終盤国会最大の焦点である内閣不信任決議案の行方は見通せない。
政府は当初、厚生年金の積立金の一部を基礎年金(国民年金)の底上げに充てる内容を法案に盛り込む方針だったが、「流用」との批判が参院選で争点化されることを懸念する参院自民の反対を受け、底上げ策を削除して国会に提出した。これに対し、立憲は国民年金の底上げが必要だとして修正案を提示し、27日の党首会談で合意。底上げ策が復活した内容で衆院を通過した。
年金関連法案は、立憲にとって今国会での数少ない見せ場となった。昨秋の衆院選で与党を過半数割れに追い込んだものの、党の支持率は低迷が続く。選択的夫婦別姓や企業・団体献金禁止を掲げたが、野党をまとめきれず、今国会中の実現は困難な状態だ。党内で他党に比べ埋没感があるとの不満が広がる中、執行部は年金関連法案の修正合意が実績づくりにつながると判断。立憲の野田佳彦代表は30日の会見で「現役世代の将来の年金の減額に歯止めをかける、最低限の修正をした」と成果を誇った。
立憲が焦りを募らせたのは、すでに他の主要野党が与党との連携で一定の成果を得ていたためだ。昨年秋の臨時国会では維新と国民民主が補正予算案に、今年の通常国会では維新が新年度当初予算案に賛成。維新は「教育無償化」、国民民主は「年収の壁」引き上げ実現に向けた思惑から与党に近づき、結果的に少数与党の石破政権を助けてきた。
野田氏は2月にあった立憲の…
- 【視点】
年金法案は自民と立憲のあうんの呼吸で成立したかのように見える。今国会では少数与党である自公政権は、これで国民、維新、立憲のそれぞれと別々に協力しながら重要法案を通してきたことになる。コンセンサス型の「合意の政治」といえば聞こえはいいが、政策
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