「デマがついに地上波で…」バッシング経験ゆえの危機感
崔埰寿
明日も喋ろう:表現は、自由か
小尻知博記者(当時29)ら2人が殺傷された朝日新聞阪神支局襲撃事件から5月3日で31年。私たちの社会でいま、表現の自由はどうなっているのか。様々な分野で表現に携わる人たちに思いを聞いた。
東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)が3月末、ある番組の放送を終了した。
「ニュース女子」。昨年1月2日、沖縄県東村(ひがしそん)高江の米軍ヘリパッド建設問題を取り上げた。反対派は救急車を止めた。日当をもらって抗議している疑惑がある――。そう表現した。
毎日放送(大阪市)のディレクター斉加尚代(さいかひさよ)さん(53)は、心が凍り付いた。根拠のない情報がネット上を飛び交い、社会に氾濫(はんらん)していると、危機感を抱いていた。「デマが、とうとう地上波で流された」。ちょうど沖縄での取材から戻ったばかり。放送を検証しようと、心に決めた。
ドキュメンタリー番組が作り…
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