「妊娠まだ?」のしかかる重圧、悩み続けた不妊治療8年

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伊藤綾 田渕紫織
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家族って:7

 少子高齢化の日本。子どもの数はしばしば、国の未来像に重ね合わせられます。産む、産まない。願望や選択、現実のはざまで、心が揺れる人たちがいます。

 「おめでたは、まだ?」

 お正月やお盆に夫の実家へ行くと、いつも義母からそう言われていた。

 東京都の女性(57)は、25歳で結婚。「子どもは男の子と女の子、1人ずつがいいかな」と漠然と考えていたが、妊娠の兆候はなかった。

 結婚2年目、心配した実母に勧められ、不妊治療のためクリニックに通い始めた。最初は渋っていた夫も数年後に病院へ行くと、夫婦いずれも子どもができにくいことが分かった。

 幼なじみが子どもを産むと、うれしさと同時に寂しい気持ちがわく。しだいに友人たちとの集まりからは距離を置くようになった。「会えば自然と子どもの話題になる。疎外感を味わいたくない」

 不妊治療は、8年に及んだ。通院、検査、薬の副作用のような症状の繰り返し……。体と心への負担が続く。

 純粋に子どもが欲しいのか…

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