(前田史郎の視点)反原発訴え続ける住職、関電前で断食

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論説副主幹・前田史郎
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 関西電力高浜原発4号機が再稼働した5月17日、大阪市北区の関西電力本社前に、法衣姿で座り込む人がいた。

 福井県小浜市真言宗・明通寺の住職、中嶌哲演(なかじまてつえん)さん(75)だ。反原発運動を始めて半世紀。再稼働に反対する「ハンスト」をするため、福井から出てきて3日目だった。生涯5度目の抗議の断食で、初めて関電前に乗り込んだ。

 「だれでもできる一食断食、一日断食で、再稼働反対を訴える。結集すれば大きな力になります」

 袈裟(けさ)の袖からのぞく腕は細く、顔色は青い。だが眼光は鋭く、輝いていた。

 この数日前、中嶌さんは「断食声明 あとからくる者のために」と題した文章を書き、15日から3日間の断食を宣言。初日から50人以上の賛同者が関電前に集まった。

 からだを気遣い、「がんばって」と声をかける人や、いっしょに座り込む人もいる。激励文を渡しにきた大学生もいた。

 中嶌さんが大阪へ来たのは、電気の消費地に呼びかけ、ともに関電に「ブレーキをかける」ためだ。

 名刹(めいさつ)の住職ながら、雪駄(せった)をすり減らし、高齢をおして運動を続ける。その執念の源は、声明文の最後の一文に凝縮されていた。

 「積年の若狭の一仏教者とし…

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