働く場 くじけず守る(震災22年 障害者と共に)
阿久沢悦子
神戸市長田区の障害者が働くパン屋「くららべーかりー」。早朝から、糖尿病で義足を使っている柴田浩明さん(44)が、デニッシュパンの表面にチョコペンで波線を描いていた。
「最後はシュッと持ち上げるようにするとキレイに描けるで」。
1月から正職員になったばかりの岡田崇史さん(27)が傍らで実演してみせる。少し線がよれた。「ま、俺もまだまだ修業中やけどな」と頭をかいた。
岡田さんは、「くららべーかりー」を営む石倉泰三さん(64)の次女(35)と昨年、結婚。障害者介護の仕事から転職してきた。
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「くらら」は開所9カ月で阪神・淡路大震災に遭い、半壊した。石倉さん夫婦は脳に障害がある長女(40)の子育てを通して、障害者が働く場の必要性を痛感していた。「ここでやめるわけにはいかない」。焼け野原となった市場周辺で、炊き出しから再起をはかった。
ほどなくして市場が復興都市…