「ゴジラ」駆使し、柔道分析 お家芸復活へ情報戦

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野村周平
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 リオデジャネイロでお家芸復活をかける日本柔道にとって、世界との戦いは畳の外でも繰り広げられている。強化を支える情報戦フランスドイツブラジルなどの柔道大国と静かに火花を散らす。

 日本の分析はきめ細かい。全日本柔道連盟科学研究部の一員で、現場を仕切る石井孝法氏は言う。「まず、誰が見ても変わらない客観的な数値を集めた」。国内外の強豪選手の「見える化」を進めた。

 国際柔道連盟(IJF)が主要大会の試合をネット上に公開し、強者はことごとく丸裸にされる時代。日本は進化する独自の分析技術で、他国の一歩先を目指す。石井氏ら分析班10人が、4年間で見た映像は男女の計約8千試合。技の比率、時間帯ごとの得失点、左右の技の分類のほか、道着を14カ所のポイントに振り分けて、組み手と技の関連性を探る研究も重ねた。

 たとえば、女子52キロ級で中村美里三井住友海上)の好敵手となる2014年世界王者のケルメンディ(コソボ)。資料には「30試合分析。大内刈り、内股が得点の28%。得点の時間帯は1~2分に46%」などといった基礎情報がずらりと並ぶ。対象は各階級6~7人。日本選手については、「海外勢にどう見えているか」を念頭に数値から特徴を捉えた。

 資料はスタッフ間でかつて「海外の柔道家」を縮めて「海柔(かいじゅう)カード」と呼ばれた。現体制になってからは「Gold Judo Ippon Revolution Accordance」の頭文字を取って、通称「ゴジラ(GOJIRA)」に。昨年末には文部科学省のハイパフォーマンスサポート事業と連携し、ネット上でのアップロードや試合のキーポイントをタグ付けできる新システムを導入。迅速かつ正確なデータ整理が可能となった。

 石井氏は「この4年、世界で…

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