ネツゾウくんとガンサクさん(小原篤のアニマゲ丼)

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 世界をだまそうとしたアホ話と全米がだまされた実話が、実に面白い映画になりました。アポロ月着陸映像の捏造(ねつぞう)をネタにしたフィクション「ムーン・ウォーカーズ」(公開中)と、にせ絵画を美術館に寄贈し続けた贋作(がんさく)者のドキュメンタリー「美術館を手玉にとった男」(21日公開)です。

 「アポロ11号は実は月に着陸してなくて、全世界に中継されたあの映像はスタンリー・キューブリック監督が作ったニセモノだ」というのはよく知られた都市伝説ですが、これを基に、コワモテCIA諜報(ちょうほう)員キッドマン(ロン・パールマン)が1969年6月、宇宙を飛んでる11号が着陸に失敗した場合の保険として、「2001年宇宙の旅」のキューブリック監督に映像製作を頼みにロンドンへやって来るが、売れないバンドのダメマネジャーのジョニー(ルパート・グリント)に間違えてカネを渡しちゃったからさあ大変。ジョニーの知り合いの映像クリエーターのアトリエで作ることになったが、スタッフはドラッグまみれのヒッピーたちだし、ハイパーなクリエーター様はサイケな宇宙にキラキラなクラゲを飛ばそうとするし。ジョニーとキッドマンがシッチャカメッチャカの現場をなんとか仕切って月着陸の当日に準備を間に合わせるが、ジョニーに貸した大金を取り返そうと息巻くギャングや、連絡してこないキッドマンに不審を抱くCIA工作員たちが乗り込んできて……。

 マヌケなジョニーがドジを踏み、荒っぽいキッドマンが向こう見ずな暴力に訴える。事態をどんどん悪い方向へエスカレートさせていく凸凹コンビが笑えます。水と油の2人が同じ目的のため力を合わせ心を通わせていく筋書きは、バディムービーの定石通り。配役もピッタリです。特に、ごっついキッドマンがよんどころない事情でフリフリの軟弱シャツを着て怒り狂う様は見ているだけでおかしい。パールマンさんはかつてアメコミヒーローのヘルボーイを演じた人ですが、これならノーメイクでハルクも演じられるんじゃないかと思うくらいパワフルですね。

 で、実際のところ月面着陸の…

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