ヒロイン合格(小原篤のアニマゲ丼)

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 マンガ原作をマンガ的な演出で実写化して、これほどうまくいった映画はなかなかないのでは。19日から公開された桐谷美玲さん主演の「ヒロイン失格」(英勉監督)です。

 無論、マンガ原作の実写映画で「成功例」はいくらもあるわけですが(失敗もたくさんあるけど)、この映画の面白みは、表情もしぐさもセリフもみんなオーバーで、ギャグからシリアスへ振れ幅大きくパッパと切り替わり、画面にでっかい文字まで浮かばせて(そして案の定ガラガラと頭上に崩れ落ちて)、ショックを受ければ背中に矢が刺さる、そんな「マンガ的」演出が見事にハマっているところ。やはり過去にもそんな「マンガ的」演出を試みた作品はありましたが、オーバーな演技が痛々しかったり、ムードがチグハグだったり、小細工が上滑りしたり……といった記憶があり、「原作のムードを生かしたい気持ちは分かるが、そもそもこういう演出プランは生身の役者には無理があるのでは?」と思っていました。そこへこの「ヒロイン失格」、快音を響かせ野手の頭上を飛んでいくクリーンヒットです。

 勝因は、ヒロインの造形と桐谷さんの超「熱演」。クールな幼なじみ・利太と学校一のモテ男・弘光の間で揺れ動く主人公の女子高生・松崎はとりは、周囲のキャラよりず抜けて濃くてテンションが高く、純情で卑劣でエゴイストでうぬぼれ屋で気分屋で優柔不断で思い込みが激しくて嫉妬深くて落ち込みやすくて立ち直りも早い。インタビューした桐谷さんが「ジェットコースターのような子」と形容していましたが、パワフルなエンジンとなって物語を乱高下させていきます。

 原作の熱烈なファンを公言し…

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