(ナガサキノート)被爆者には時間がない

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山本恭介・27歳
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森内実さん(1937年生まれ)

 2013年12月26日、森内実(もりうちみのる)さん(76)=長与町=は長崎地裁にいた。被爆して心筋梗塞(こうそく)を患い、原爆症の認定を国に求めて長崎地裁に提訴した山本寛(やまもとひろし)さん(73)の裁判を傍聴するためだ。傍聴席で、いまも原爆症をめぐる裁判が続く状況に、信じられない思いでいた。

 認定の可否は行政と司法とで判断が分かれ、溝が埋まっていない。「裁判で争う必要がないよう解決する、と国は約束したはずなのに……」。09年、当時の麻生政権は「司法判断を尊重する」として日本原水爆被害者団体協議会日本被団協)と確認書を交わし、原爆症認定集団訴訟は終結。集団訴訟で長崎地裁の原告団長だった森内さんは「これで裁判はなくなる」と期待した。それだけに、「国に裏切られた」との思いが強い。

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 裁判が長期化する間に、原告…

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