【解説】
 NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」が放映中です。鈴木亮平さん演じる幕末の英雄・西郷隆盛は、犬をこよなく愛したことでも知られます。今回はそれにちなみ、西郷どんの愛犬が盗まれそうになった事件をご紹介します――といっても実物ではなく、東京・上野の銅像です。

 1929年5月18日付の朝日新聞には、「西郷さんの手から 犬を盗まんと企む」と、傍点で強調した見出しを掲げた記事が掲載されています。全文を末尾に掲載しますが、要約すると以下のような内容です。

 東京府中野町で消防用の半鐘が何者かに盗まれ、警察が捜査。逮捕された2人の男は鐘を盗んだことを認めたが、夜2人が留置場内でうなされるのを不審に思った警察が余罪を追及したところ、以前に寺から仏像を盗んだことや、上野の西郷像の犬も壊して盗もうとしたことを供述した――

原文どおりに表記することを原則としますが、読みやすさの観点から

・漢字の旧字体は新字体に
・句点(。)を補った方がよいと思われる部分には1字分のスペース
・当時大文字の「ゃ」「ゅ」「っ」等の拗音(ようおん)、促音は小文字に

等の手を加えています。ご了承ください

加藤 正朗(かとう・まさあき)

2015年入社。生後2年程度だけ過ごした京都市を「出身地」と言い張る東京育ち。大学で7年間、化学工場の運転データと格闘するなどした後、校閲記者の道に。猫をこよなく愛し、猫アレルギーの体質を憎む。