プロボクシング元ヘビー級王者のモハメド・アリさんが3日、74歳で亡くなりました。ローマ五輪金メダリスト、「キンシャサの奇跡」、アントニオ猪木さんとの異種格闘技戦など、いくつもの伝説に彩られた生涯でしたが、忘れてはならないのは差別との闘いです。


 アリさんは、米国での根強い黒人差別に正面から挑みました。生来の「カシアス・クレイ」という名を「奴隷の名前」として改名し、ベトナム戦争時には、ベトナム人を殺す理由はないとして兵役を拒否しました。「チョウのように舞い、ハチのように刺す」というリング上の華麗な姿だけではなく、国家・戦争・差別という巨大な「敵」に向かって拳を振り上げ、挑み続けた姿はいつまでも輝き続けます。

 新聞各紙ともアリさんの訃報(ふほう)を大きく取り上げました。アリさんの偉業を振り返りつつ、そしていまなお残るさまざまな差別の問題にも目を向けてみませんか。