(EYE モニターの目)今月のテーマ:宮沢喜一元首相「日録」の報道
■「政治とカネ」問題の学びに
私はIT企業の一員として、技術の進化とともに社会がどう変化していくのか常に注目している。政治の世界でも同様に、過去から現在への変遷を理解することが、未来を予測する上で欠かせないと思う。「政治とカネ」の問題など、宮沢喜一氏が直面した課題にどう取り組んだかは、今の政治家にも学びとなるはずだ。これらの記録がどうデジタル化され、一般にアクセス可能になるのか、その過程についても詳しく知りたい。
(木瀬博行 58歳 埼玉県)
■葛藤が伝わり、歴史を身近に
宮沢氏の首相在任期間は私が生まれる前で、歴史上の人物という感じだ。こんな字を書いていたのかと自筆メモをまじまじと見てしまった。印象に残るのは「政治とカネ」に関する箇所だ。今も同様の問題が続いていることを宮沢氏が知ったらどう思うだろうか。歴史の勉強は暗記ばかりで苦戦したが、出来事の裏側にあった葛藤ややり取りが伝わってくると、身近に感じられた。今後も歴史の内幕を知ることができる記事を読みたい。
(横矢桐の 25歳 大阪府)
■御厨貴・原彬久対談が白眉
この企画の白眉(はくび)は、御厨貴氏と原彬久氏の対談が載ったデジタル連載第6~8回だと感じている。彼らならではの発言が目白押しで、この日録をめぐってさらなる研究成果がもたらされることを望んでいる。これらの回には毎回、内容理解につながる関連年表がつけられていて、大変役に立った。朝日新聞は、今後も両氏とともに内容を深掘りし、戦後日本外交史の必須文献となるような「まとめ」を世に出してほしい。
(加賀山修 63歳 東京都)
■詳しいプロフィルを載せて
若い人の多くは宮沢氏が誰かもわからなかったのではないか。私も首相だったことは覚えているが、どんな方だったか、詳しいプロフィルがほしかった。内容も難しいと感じた。例えば当時の政治改革の内容などは、見出しでぱっとわかるとよいと思った。細川護熙氏や河野洋平氏が記事に登場するが、3人の関係が矢印でわかる人物相関図のようなものがあると理解しやすいと思った。字ばかりでは読む気が失せてしまう。
(高橋孝子 49歳 埼玉県)
<戦後80年へ、今につながる報道を>
過去からの変遷を理解し、さらなる研究を重ねる重要性をご指摘いただきました。
宮沢喜一氏は、官僚、政治家として戦後のシステムをつくった一人です。戦後80年を前に、その秩序にはほころびが目立ち、日本も世界も曲がり角を迎えています。彼の185冊の日録を通して、「政治とカネ」問題から日本の進む道まで、多くを学べるはずです。報道を続け、研究に生かせるデータベースの構築にも取り組みます。
舞台裏を少し明かすと、このプロジェクトは8年前に発足し、研究会を続けてきました。政治史の大家に加え、コンピューター分析を得意とする政治学者や、宮沢氏を連日取材した記者もメンバーです。
今後、「保守本流」とされたものや「吉田ドクトリン」とは何だったのか、外交や経済など様々な角度から、今につながる分析・報道を出していく予定です。若い世代にも、その人物像が浮かぶような工夫を重ねます。
(オピニオン編集部・池田伸壹)
◇東京本社発行の朝刊、夕刊の最終版をもとにしています
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