発達障がいとともに 朝日新聞厚生文化事業団の助成、4団体の活動紹介

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 朝日新聞厚生文化事業団は、発達障がいのある人たちを支える活動を応援する事業「『発達障がい』とともに生きる 豊かな地域生活応援助成」の2024年度の助成対象団体を決めた。助成先として決まった11団体のうち、4団体の活動を紹介する。(古屋厚子、河田有子、編集委員・宮坂麻子

 ■8050問題、当事者と親を支援 社会福祉法人「はるにれの里」(北海道・3年継続助成)

 設立は1986年。重度知的障がいや自閉症のある人など、多様な人たちの支援をしてきた。強度行動障がいがあり、激しいパニックなどを起こしやすい人が、地域で自立した生活を送るための支援にも力を入れる。

 近年は札幌市で、80代の親が50代の子を支える「8050問題」の当事者である、発達障がいの親子の支援も行う。ひきこもったまま中高年になり、自身の障がいを受け入れられず福祉や医療につなげることが難しい例も多いという。助成事業責任者の石田昭人さんによると、今後は当事者どうしがプロ野球など興味のあることでつながるグループ活動や、支援者の研修会などを行う予定。

 ■困りごと、先生と共有アプリ 一般社団法人「Focus on」(滋賀県・単年助成)

 2019年度の高校生ビジネスプラン・グランプリで審査員特別賞を受賞した企画を元に、支援アプリ「Focus on」を開発している。発達障がいの特性を抱えて通常学級で学ぶ子の疲労度や困り事を、先生らと共有できるアプリだ。

 代表理事は、立命館大3年の森本陽加里(ひかり)さん。矛盾することに折り合いをつけたり言葉の真意を理解したりすることが苦手で、小中学生の時は不登校も経験した。頑張りすぎると折れてしまう。

 アプリにはアラート付きの疲労度測定機能や、困り事入力機能も。「学校で当たり前に使える支援ツールにできれば」と森本さん。2月末にリリースする予定。

 ■読み書きの苦手、理解へ動く 一般社団法人「読み書き配慮」(東京都・単年助成)

 設立は2018年。読み書きなどが苦手な学習障がい(LD)について、知る(理解の普及)▽調べる(検査の普及)▽支援する(支援法の普及)という三つを活動の柱にして、これまでの配慮事例のデータベースを公開。相談事業、講演会、研修会なども行っている。

 代表理事の菊田史子さん自身、LDの息子を育てた母親。進学などで壁にぶつかった経験をいかし、理事の河野俊寛・北陸大教授の協力で適切な合理的配慮や支援を求める活動もする。

 拠点の東京では大学生らとLDの子ども向け教室を開催。「今後は地方により力を入れ、輪を広げていきたい」と菊田さんは話す。

 ■学び支えるツール、開発へ NPO法人「HATI JAPAN 多文化多言語の子ども発達支援」(東京都・単年助成)

 インドネシアでボランティアとして発達支援活動をした代表理事の東谷知佐子さん(公認心理師・臨床心理士)が、外国につながる子どもの発達や学習を支援する目的で2019年に設立した。外国につながる家庭が少なくない東京都内の団地に、子どもたちの「居場所」を開設。発達カウンセリングや学習支援、学校との連携なども行っている。

 「外国につながる子どもの学習や日本語支援がうまく進まない時、その子の課題は『ことば』なのか『発達』なのかと悩むことが多い」と東谷さん。個々の子どもの発達状況を理解し、適切な支援につなげるツールを開発していく予定。

 ◇この事業では24年度、計11団体に総額1036万8860円を贈る。紹介した4団体以外の助成先と活動内容は次の通り。

 もりおかユースポート(岩手県) 障がいの特性や知識を企業に広める▽もうひとつの美術館(栃木県) 当事者の思いを表現した作品展とワークショップ開催▽WEL’S(東京都) 支援する団体と当事者、団体同士をつなげる活動▽全国LD親の会(同) 成年期以降の発達障がい支援▽発達障害当事者協会(同) 当事者の意見集約▽セルフ(佐賀県) 発達障がいの特性を理解した美容師紹介のサイト普及▽sol(熊本県) 写真展示による親同士のメンター事業=いずれも単年助成

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