(書評)『孤島の飛来人』 山野辺太郎〈著〉

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 ■ひそかに続く「王国」に迷い込む

 まじめな人たちが、大まじめに織りなす気宇壮大な物語。南国の風景と戦争の記憶が交錯し、滑稽さのなかに、もの悲しさも交じり合う。不思議な読後感が後を引く作品だ。

 経営危機でフランスの会社の傘下に入ると噂される日本の自動車メーカーに勤める「僕」。ある夜、同僚たちに見…

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