(社説)レジ袋有料化 脱プラへ確実な一歩に

社説

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 使い捨てプラスチック製品の乱用に歯止めをかける、確実な一歩にしなければならない。

 政府は先月、スーパーやコンビニなど全ての小売店でプラ製レジ袋を無料配布できなくする案を、有識者会議に示した。広く意見を聞いたうえで容器包装リサイクル法の省令を改め、来年4月の実施をめざす。

 消費者は、買い物の際にマイバッグを持参する習慣をさらに徹底させる。業界は環境負荷の小さい素材の導入や、紙製の袋の活用などを進める。そんな取り組みを強化したい。

 日本は1人あたりの使い捨てプラごみの発生量が、米国に次いで2番目に多い。世界各地で海洋流出が深刻な問題になっていて、政府は5月にまとめたプラスチック資源循環戦略で「2030年までに25%削減する」という目標を打ち出した。レジ袋の有料化は、これを達成する手段のひとつとして同戦略に盛り込まれた。

 過去にも有料化が検討されたことはあるが、コンビニ業界などの反対で見送られた。今回も準備期間の不足を理由に延期を求める声がある。ここは日本を取りまく状況を理解し、政府と連携して前に進んでほしい。

 かぎを握るのは価格だ。

 政府案では個々の事業者が決めることになっている。既に有料化しているスーパーの場合、1枚2~5円が多い。辞退する人を増やすには、もっと高くしてもいいのではないか。他国の例も参考になるだろう。

 無料配布を禁ずる国は珍しくなく、40を超す国では配布自体が許されていない。今回の施策でもまだ見劣りするほどで、将来、より厳しい規制の検討が求められる可能性がある。

 留意すべきは、「脱レジ袋」がうまく進んでも、プラごみ問題の真の解決ははるかに遠いということだ。

 年間900万トンの国内のプラごみのうち、レジ袋は数%にすぎない。日々のくらしは、食品や日用雑貨の容器、各種食器、包装材など、多様な使い捨てプラ製品であふれている。これを減らすには、企業による代替品の開発や仕様の見直しに加え、消費者が多少の不便を受け入れることが欠かせない。

 その意味でも今回の有料化の意義は小さくない。これを、日常生活全般を見直し、意識を変える機会とするべきだ。

 政府は6月、G20サミットの議長国として「2050年までに海に流れ込むプラごみをなくす」という国際合意をとりまとめた。この課題に率先して取り組む責任を負ったとの認識をもち、行政、産業界、消費者が、それぞれの立場からプラごみの削減に努める必要がある。

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