「治せる認知症」見逃すな 特発性正常圧水頭症 負担少ない手術、普及

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 お年寄りに多い特発性正常圧水頭症という病気がある。早期なら治療で改善が期待できる認知症の一つだが、患者数が従来よりかなり多いとする推計がこのほど発表された。今では負担が少ない手術法が国内で定着しつつあり、見逃しを減らすとともに、治療態勢の充実が大きな課題だ。

 東京都の女性(68)は2010年にアルツハイマー型認知症と診断され、3年前から老人ホームで暮らす。昨年から会話が急に減り、歩幅が小さく、立ち上がることも難しくなった。「異変」を感じた娘に伴われ、今年2月、順天堂大順天堂医院(東京都)の脳神経外科を受診した。

 宮嶋雅一・先任准教授が女性の頭のMRI画像を見ると、脳の中心にある脳室上部が鋭角なV字形に広がり、特発性正常圧水頭症を合併しているとわかった。

 この病気は原因不明で、脳や脊髄(せきずい)を守る脳脊髄液(髄液)が脳室にたまる。ゆっくり進み、歩行障害、認知障害、排尿障害が出る。

 治療法の一つは、過剰な髄液をおなか(腹腔〈ふくくう〉)へ流す手術「シャント術」。日本で増えているのが腰椎(ようつい)と腹腔を細い管でつなぐ「LPシャント術」だ=図。従来は脳室と腹腔を結ぶ「VPシャント術」が多かったが、脳に管を刺すなど心理的負担が大きかった。

 LPシャント術は、管が背中の腰の辺りから左脇腹を通り腹腔を結ぶ。途中にバルブがあり、一定の圧力を超えたら髄液が流れる。圧力は手術前に身長や体重を元に設定するが、手術後の様子を見て、外から磁石を当てて調節もできる。

 手術するかは、腰椎に管状の…

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