会社の一方的な配転命令に歯止め 職種限定では違法 最高裁が初判断

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遠藤隆史 編集委員・沢路毅彦
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 事業者との間で、特定の職種に限って働く合意がある労働者を、合意に反して配置転換できるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(草野耕一裁判長)は26日、「合意に反した配転は本人の同意がない限り違法」との初めての判断を示した。損害賠償などを求めた原告の請求を棄却した二審・大阪高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。

 4人の裁判官の全員一致の意見。職種などを限定する合意が成立している場合、企業側は一存で配転できないと確認する判決で、企業の人事運用などに一定の影響を与えるとみられる。

 滋賀県社会福祉協議会で働いていた原告の男性は、福祉用具を扱う技術職として採用されて18年間勤務した後、19年に合意なく総務課の施設担当係に配転された。この配転が「職種限定合意」に反して違法だとして、法人に賠償などを求めて提訴していた。

最高裁の判断は

 一、二審判決は、男性がセン…

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2024年4月27日14時37分 投稿
    【視点】

    最高裁が差し戻したことを含め、注目すべき判決。日本の働き方が変わる契機になるかもしれない。職種を職務記述書で契約時に提示する合意形態も、新卒採用はともかく、この判決を受けていわゆる中途採用では要求が広がる展開もありうるだろう。

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    澤路毅彦
    (朝日新聞編集委員=労働)
    2024年4月27日10時8分 投稿
    【視点】

    記事中で紹介した1986年の最高裁判決は、労働法を勉強すると必ず登場する有名な判決です。合意がなかったことを前提に配転命令が権利濫用かどうかを審査しているので、今回の事案とは違いがありますが、企業の人事権を広く認めている点が印象的です。

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