20世紀に世界の生物多様性は2~11%減 対策なければ悪影響続く

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桜井林太郎
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 人間がこれまでにない速度で生物多様性を損失させたとされる20世紀。その100年間で世界の生物多様性が2~11%減少したと、国際共同研究チームが分析した。対策をとらず、従来のような土地開発と化石燃料依存が続くと、今後もこれまでと同じ速度で悪影響が続くこともシミュレーションでわかった。

 研究成果が米科学誌サイエンス電子版に掲載される。ただ、温暖化対策や食肉消費の削減、土地利用規制など、持続可能な発展に向けた対策を進めると、生物多様性の減少などを大幅に抑えられることもわかり、地球規模の取り組み強化が重要だと指摘している。

 研究チームは1900~2050年までの150年間について、過去の統計データも使って、複数のモデルで生物多様性に関する指標をシミュレーション分析した。それぞれのモデルでは経済発展や土地利用、気候変動などを組み合わせた三つのシナリオを想定した。

 その結果、20世紀中の100年間では、地球全体と地域ごとの陸上生物種数、地球全体での種ごとの生息可能面積、地域ごとの生物種構成の原生度といった4指標で、生物多様性が2~11%が減少していた。地球全体の生物種では900万種のうち20万種が減少した計算になる。

 将来動向については、従来のような化石燃料依存の発展シナリオでは、20世紀中と同じ速度で生物多様性が継続的に減少していく。気候変動の影響を考慮すると、土地利用の変化だけよりも減少速度が一気に強まり、例えば、地球全体での種ごとの生息可能面積は10年間で5%ほど減るほか、地球全体の生物種数も10年間で3%程度減ると試算された。

 ただ、産業革命からの気温上昇を2度に抑えるなど、持続可能な発展をめざすシナリオでは、50年までの生物多様性の減少を化石燃料依存のシナリオの40~74%に抑えられると出た。

 生物多様性が人間にもたらす…

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