米国、れんが造り工場で砲弾増産急ぐ ウクライナの「生命線」の現状

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スクラントン=下司佳代子/取材協力=リア・グリフィス
【動画】砲弾を生産するスクラントン米陸軍砲弾工場=下司佳代子撮影
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 100年以上前に建てられたれんが造りの工場で、ウクライナの運命を決める兵器の生産が進められていた。

 人工知能(AI)を駆使した先端兵器ではない。大砲の弾丸、「155ミリ砲弾」だ。

 ロシアの侵攻を受けたウクライナの前線では2年以上、出口の見えない戦いが続く。そこで明らかになったのは、「大砲」「砲弾」という旧来の武器が依然、きわめて重要な意味を持つということだった。そしていま、ウクライナやそれを支える米欧は、この「ローテク兵器」の物量でロシア側に圧倒されつつある。

 4月、米軍への取材申請が認められ、訪れたのは、戦地に送る砲弾の生産を急ぐ米ペンシルベニア州の工場だ。スクラントンという山あいの古い町にある。町の名は19世紀前半、この地に製鉄会社を設立した実業家にちなむ。バイデン大統領のふるさとでもあり、生家が残る。

 「戦場で危険な目に遭ってい…

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2024年5月6日13時33分 投稿
    【視点】

    レンガ工場といっても、元は砲弾工場。こうした古い設備を更新して新たな雇用を地元に生み出すというバイデンの選挙戦略も兼ねている点は興味深い。議会共和党はウクライナ支援の予算を通すのを渋ったが、結果としてこうした産業振興に使われると理解して予算

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