安保政策から切り離される憲法論 「人権+平和」のため国会で熟議を

有料記事あすを探る

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あすを探る 青井未帆さん

 権力の取り扱いに失敗すると、それに服する者の自由が危機に瀕(ひん)し、場合によっては武力紛争にもつながる。いかに安定的に諸国民の自由や人権を実現するかが、国際秩序や国内憲法体制を維持する上で、大きな課題である。

6人の論壇委員が交代で執筆するコラム「あすを探る」。今月の筆者は、学習院大学教授の青井未帆さん(憲法)です。

 国際関係における基本単位は、通常、主権国家である。一国の憲法体制は国際的な平和の秩序の一部をなしている。それぞれの国家に求められるのは、国際の次元では平和秩序の安定に貢献し、国内の次元では統治権力を統制することによって、人々の自由を守る不断の努力である。

 権力統制と自由保障の方法として展開してきたのは、権力が一つの機関に集中しないよう分割することによって人権を保障する考えであり、立憲主義と呼ばれている。この考えのもとに平和と人権を表裏一体と理解することを、両者の不可分性を強調して「人権+平和」構想と呼ぼう。

 「人権+平和」構想を実現する方法は、各国の歴史や文化によっても異なる。日本国憲法はこの構想に非常に強くコミットしており、他の国にはない実力統制の手法が取られてきた。

 日本国憲法には軍事を否定す…

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