脱線事故から19年間、記憶障害の娘 それでも「しあわせ」母の希望

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小池淳
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 大阪湾を見渡す、兵庫県西宮市の静かな高台に、リハビリテーションの専門病院がある。49歳の女性がここに通い始めて、今年で19年。完治するか、わからない。介護する母親は、それでも「しあわせ」という。

 西宮市の鈴木順子さん。30歳のとき、乗っていた電車が右カーブを曲がりきれずに脱線、転覆し、線路横のマンションに突っ込んだ。107人が死亡したJR宝塚線(福知山線)脱線事故だ。

 大破した2両目の車内で、折り重なる乗客の中から助け出されたとき、意識はなかった。現場で気道を確保した医師は、とっさにボールペンを口の中に突っ込み、ガラスの破片をかき出した。

 自発呼吸が止まり、脳圧が高まって危険な状態が続いた。

 意識を取り戻し、退院できたのは11カ月後だ。

 当初はベッドに横になったままだった。リハビリを重ねて、少しずつ体を動かせるようになり、車椅子で移動できるまで回復した。

 しかし、頭を激しく打ったことによる後遺症が、いまも残る。

 「両上肢機能全廃」「両下肢機能全廃」「言語機能喪失」

 自宅に置いた身体障害者手帳

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