受刑者にとっての「読書」とは? 本の差し入れ数大幅制限に違法判断

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米田優人
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 受刑者への書籍の差し入れ数を大きく削減した刑務所の対応を「違法」とした逆転判決が出た。受刑者にとっての読書を、裁判所はどう位置づけたのか。(米田優人)

 「書籍の閲覧は教養を身につけるうえで有効で、原則として保障されるべきだ」

 東京高裁は2月、受刑者らの読書の意義に言及し、外部からの差し入れ冊数を大幅に減らした栃木刑務所(栃木県栃木市)の判断を違法とした。

 判決によると、同刑務所は2020年1月、書籍の受け入れ業務が逼迫(ひっぱく)しているとして規則を変更。1人ができる差し入れ冊数を「1日(原則平日)1回3冊まで」としていたのを、95%減となる「月1回3冊」に変えた。

 このため同刑務所に服役していた女性受刑者が同年7月、知人や支援団体から差し入れられた書籍39冊を上限超過を理由に受け取れず、制限は違法などとして国に220万円の損害賠償を求めて提訴した。

裁判所の判断は

 昨年3月の一審・宇都宮地裁栃木支部は、「刑事施設の管理運営上、必要な制限として不合理とはいえない」などとして請求を棄却した。

 これに対し東京高裁は、全国…

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    仲岡しゅん
    (弁護士)
    2024年4月29日5時30分 投稿
    【視点】

    私もかつて受刑者の支援をしていたことがありますが、読書の問題に限らず、刑務所内部で理不尽な処遇が行われていても、外部の目が非常に届きにくいという問題があります。 また世論的にも「犯罪者なのだから権利が制限されて当然」という発想が根強いため、

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    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2024年4月29日9時17分 投稿
    【視点】

    カナダのコリンズ・ベイ刑務所で毎月定期的に開かれる読書会にボランティアとして関わったジャーナリストのアン・ウォームズリーが、1年間の活動をまとめた「プリズン・ブック・クラブ」という本があります。著者がボランティアとして関わった刑務所内の読書

    …続きを読む