私たちは「人新世」を生きているのか? 地質学者の答えは「ノー」

有料記事NYTから読み解く世界

Raymond Zhong/The New York Times 抄訳・天野みすず/朝日新聞GLOBE編集部
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Are We in the ‘Anthropocene,’ the Human Age? Nope, Scientists Say.

 人類の活動による地球の変容を、地球史における独自の章「人新世[Anthropocene]」(訳注:読み方は「じんしんせい」または「ひとしんせい」)、すなわち「人類の時代」という名で刻むときが到来したのだろうか?

 いや、まだだ――。というのが、15年近くにも及ぶ議論の末に、科学者たちが出した結論だ。15年近くも、とはいっても、地質学的なスケールで見れば一瞬にすぎないが。

 ニューヨーク・タイムズが入手した投票結果によると、約20人の学者で構成される小委員会(訳注:国際地質科学連合IUGS傘下の「第四紀層序小委員会」)は、新たな地質年代「人新世」の始まりを宣言すべきだ、という提案を大差で否決した。

 地質学者が用いる46億年に及ぶ地球史年表によれば、私たちが暮らす今の世界は、1万1700年前の大氷河後退から始まった「完新世[Holocene]」だ。この年表を修正し、いまや「人新世」に移行したのだ、と言うのであれば、それはとりもなおさず、このところ人類が地球に及ぼしている地質学的な影響は完新世に終止符を打つほどのものなのだ、と認めることを意味する。

「人新世」が新たな地質年代と認められなかったのはなぜか。それは、人類が地球に対して、さほど深刻な影響を及ぼしていない、ということなのか。続きをお読み下さい。

 もしも「人新世」の始まりが…

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