「人間らしい生活」奪われた絶望 バッシングに負けず声を上げる意味

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編集委員・豊秀一
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現場へ! 憲法を手にⅢ③

 3月上旬、愛知県刈谷市生活保護を受けている千代盛学(70)の自宅を訪ねた。

 糖尿病性の網膜剝離(はくり)で視力を失いながら、一人暮らしを続けている。「生活保護の基準額が引き下げられ、一段と生活が苦しくなった。弱い者を生かさず殺さず、という国のやり方に、絶望感を味わった」。見えない目でインスタントコーヒーを入れてくれながら、千代盛はそう語った。

 30年近く和食の料理人をした後、派遣社員として電気関係の仕事をしている最中に少しずつ視力を失い、職を失った。基準額の引き下げ後は、冬場でもシャワーだけ。電気代のかかるエアコンは、猛暑の日もできるだけつけないようにしてきたという。「保護費を、もとに戻してほしい」

 2012年12月の総選挙で…

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    清川卓史
    (朝日新聞編集委員=社会保障、貧困など)
    2024年4月24日16時0分 投稿
    【視点】

     一連の生活保護基準引き下げは、まさに人権、尊厳が問われる問題だと私は思っています。  引き下げを決めた国の検討過程において、当事者である制度利用者の意見を直接、ていねいに聞き取る場は、ただの一度もありませんでした。  家計状況は各種調査で

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    永田豊隆
    (朝日新聞記者=貧困、依存症、社会保障)
    2024年4月24日16時0分 投稿
    【視点】

    「冬場でもシャワーだけ。電気代のかかるエアコンは、猛暑の日もできるだけつけないようにしてきた」。千代盛学さんの苦境をもたらした生活保護基準の大幅引き下げについて今、地裁判決の半数以上が違法と判断しています。 憲法25条の生存権が保障している

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