6歳の自分と母がくれた原点 重圧に涙した五輪、我慢比べからの解放

有料記事スポーツPlus

照屋健
[PR]

 試合後の取材エリアでも、涙が止まらなかった。

 2021年の東京オリンピック(五輪)。バドミントン女子シングルスの日本代表・山口茜(26)は準々決勝で敗退した。

 「正直、プレッシャーをいつも以上に感じて……。結果で応えられなくて、すごく悔しいです」

スポーツPlus

スポーツPlusはオリジナル記事を有料会員の方にメールで先行配信するニュースレターです。今回は4月16日配信分をWEB版でお届けします。

 新型コロナウイルスの影響で開催が1年延期された大会だった。

 感染者数の減少が見られない中で、五輪の「強行」に反対の声もあがった。しかも、原則無観客での開催。「スポーツに何ができるのか」と悩んだ。

 たどり着いた考えは、シンプルだった。

 「お世話になっている人たちが喜んでくれることは何かと考えたら、一番わかりやすいのは結果を出すこと」

 ところが、大会が始まってみると自分のプレーができなかった。気付かぬうちに表情はこわばった。

 テレビを通して山口の変化に気付いた友人からは「自分のためにやっておいで」とLINEでメッセージが届いた。それでも、開き直れなかった。

 「(見ている人を)勇気づけたいとか、いろいろ考えすぎた」。力を出し切れずに敗れた悔しさを抑えることができなかった。

 結果を出すためにコートに立つ。

 それは、バドミントンに出会ったときからの信念とは少し違った。

 楽しむ――…

この記事は有料記事です。残り864文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

スポーツPlus

スポーツPlus

競技に生きる、そこに生きた、それを支えた人たちの、勝ち負けだけじゃない物語を描きます。ニュースレター「スポーツPlus」は、有料会員の方に毎週お届けします。[もっと見る]