廃止予定のケアハウス入所者 白紙撤回求めさいたま市に要望書

岩堀滋
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 さいたま市が、市内5カ所の公設民営型高齢者福祉施設の廃止を打ち出した問題で、対象の複合施設「グリーンヒルうらわ」にある軽費老人ホーム(一般型ケアハウス)の入居者が12日、見直しを訴える要望書を市に出した。「入居者の気持ちを踏みにじっている」「経済的負担が増加する」などと批判が相次いだ。

 要望書を出したのはケアハウス「ぎんもくせい」の入居者5人で、方針の白紙撤回を求めた。

 市は5施設のうち、デイサービスセンター4施設のほか、グリーンヒルに入る介護老人保健施設とデイサービスセンター、在宅介護支援センターを来年3月末に廃止する方針。ぎんもくせいも2030年3月末に廃止する計画だ。理由について市は、介護保険事業への民間参入が進んだことや、1993年開設のグリーンヒルの修繕に巨額費用がかかることを挙げる。

 入居者からはこの日、他施設の利用について「さいたま市のケアハウスは空室がない。市から情報提供もなく不安だ」との声が上がった。グリーンヒルの老朽化についても「30年で老朽化はない。減価償却も済んでいない」とし、鉄筋コンクリート建造物の法定耐用年数(47年)並みに廃止を15年延ばす要望も出た。

 市は昨年11月に廃止方針を決め、今年2月の市議会常任委員会に初めて報告。6月議会で廃止条例案を出す見込みだ。要望書を受け取った山崎勝・市福祉局長は「不安を感じていらっしゃることについて大変申し訳ない」としながらも、「市の方針はすでにお伝えさせていただいた。要望内容は貴重なご意見として承らせていただく」と述べるにとどまった。岩堀滋

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