ドローン攻撃のザポリージャ原発、安全管理は「ギャンブル状態」

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ロンドン=藤原学思
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 ウクライナ中南部ザポリージャ原発ドローン無人機)を使った攻撃があり、安全性への懸念が高まっている。国際原子力機関(IAEA)は11日、ロシアとウクライナの要請により、特別理事会を開催。ただ、有効な手立ては打てないまま、綱渡りの状態が続いている。

 「サイコロを転がすようなことは、原子力の安全を保つ上であってはならない」

 11日、IAEAのグロッシ事務局長は特別理事会の冒頭でそう語った。7日の攻撃では、6号機の原子炉建屋を含む3カ所で被害が確認されていた。

 IAEAによると、安全性に対する深刻な被害は確認されなかった。ただ、グロッシ氏は攻撃主体については言及を避けつつ、「重大な原子力事故のリスクを著しく高めた」とし、自制するよう訴えた。

 原発を占拠するロシアの外務省は8日の声明で、「米国や西側の衛星国の支援を受けたウクライナの犯罪行為だ」と主張。一方、ウクライナ側は関与を否定している。

 欧州最大の出力を持つザポリージャ原発は、ロシアがウクライナへの全面侵攻を始めた直後の2022年3月から、ロシア軍の支配下にある。原子炉は6基あるが、22年9月に唯一稼働していた6号機が止まってからは「完全停止」の状態が続く。

市長「1万1千人の職員は2千人に」

 原発がある中南部ザポリージャ州エネルホダルのオルロウ市長は11日、朝日新聞の取材に対し、全面侵攻前にいた約1万1千人の職員のうち、現在は2千人しか働いていないと明らかにした。ロシアの国営原子力企業と雇用契約を結ばない限り、敷地内に入ることすらできないという。

 ロシア側は周辺の自治体など…

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