手荷物検査・金属探知機利用進む 岸田首相襲撃事件1年で警察庁長官

編集委員・吉田伸八
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 和歌山市の選挙演説会場で岸田文雄首相に向け爆発物が投げ込まれた事件から15日で1年になるのを前に、警察庁の露木康浩長官は11日の定例記者会見で、事件後は演説会場などで主催者による手荷物検査、金属探知機を使った検査などを「おおむね実施していただいている」と話した。

 露木長官は「今後実施される各種選挙も見据え、警護の万全を図っていきたい」と述べた。16日には衆院3補選が告示される。

 岸田首相の事件について露木長官は、演説会などの主催者と警察との連携と、聴衆の安全確保が新たな課題として浮き彫りになったと説明。警察は事件後、主催者に警護対象者と聴衆との間隔を空けることや、手荷物検査、金属探知機の利用などを求めている。聴衆の安全確保でも、警察と主催者が合同で避難誘導訓練を行うといった取り組みが進んでいるという。

 露木長官は「警護中の要人に対する襲撃を許すことは二度とあってはならない」として、「事例から得られる教訓をふまえ不断の見直しをしていく」と述べた。課題として、国民の理解と協力のほか、実践的訓練と先端技術を活用した資機材の整備などによる警護の高度化を挙げた。

 2022年7月に安倍晋三元首相が奈良市で銃撃され死亡した事件を教訓に、警察庁は都道府県警が作る警護計画案を警察庁が事前に審査する新たな仕組みを導入。警察庁によると、2022年8月の新制度開始から24年3月までに約5600件を審査し、うち約4300件で修正を指示したという。(編集委員・吉田伸八

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