第5回雪道でも自動運転 見据える完全無人化 導入の契機は「ペッパー」

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 信号が青に変わると、白い車体はゆっくりと走り出し、雪の残る交差点を左折。直線を進んだ。

 北海道上士幌町が月曜、木曜、土曜に定時運行する自動運転バス。フランス製で定員11人の「アルマ」は、車体に備わったレーザー光センサーやGPS装置などを使い、町の市街地中心部をめぐるルート、周辺の二つの団地をめぐるそれぞれ1周約3.5キロ、約4キロの2ルートを、時速20キロ未満でそれぞれ30分、35分ほどで回る。

 車内に運転席はなく、アクセルやハンドルの操作などは基本的にシステムが担う。ただオペレーターと呼ばれる補助員が同乗し、家庭用ゲーム機で使うようなコントローラーを手に、危険時の回避操作などを担当する。自動運転の「レベル2」と呼ばれる段階だ。

国内初、公道での雪道走行実験

 上士幌町は、2017年に自動運転バスの実証実験に参加した。厳しい冬の北海道で初の試みだった。2021年、国内初となる公道での雪道走行の実験をした。

 東京23区よりも広い面積に、5000人弱が住む。自動運転はどれくらい根づいているのか。2月の半ば、町を訪ねた。

 梛野(なぎの)恵美子さん(83)はこの日、役場で年金の手続きをした帰りに乗車した。もともと車の運転はしない。

 「役場から家まで歩いたこともあったけれど、40分くらいかかって今はきつい。冬は雪もあるし、バスがあってありがたい」

 冬場、多少の積雪があっても通常通りに走る。ただ、雪のかたまりをセンサーが障害物と認識しやすく、運行が止まることもあるという。

 以前は信号機のある場所では色にかかわらず停車する設定だったが、今年2月から一部で「信号協調」というシステムを導入。色に従って停止・走行する。赤信号で止まった後に青信号で走り出すのも自動だ。

 別システムとあわせ、町では今年度中に、一定条件下で全ての運転操作を自動化する「レベル4」をルートの一部で実現することを目指している。

 自動運転バスの運行システムは、ソフトバンクの子会社「ボードリー」が担う。両者を取り持ったのはソフトバンクグループのヒト型ロボット「ペッパー」だった。

 町デジタル推進課長の梶達(…

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