警察庁サイバー特捜部が発足 隊から格上げ、長官「独自捜査」指示

編集委員・吉田伸八
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 警察庁のサイバー特別捜査隊を格上げしたサイバー特別捜査部が1日、発足した。体制を増強し、重大なサイバー事案の捜査にあたる。格上げは海外の捜査機関との連携をいっそう高める狙いがあるという。

 サイバーをめぐる情勢の深刻化に対応するため、警察庁は2022年4月、サイバー警察局と、国直轄で自ら捜査にあたるサイバー特捜隊を創設した。特捜隊は、ランサムウェア(身代金ウイルス)を使ったサイバー攻撃に対する欧州警察機構(ユーロポール)などによる国際共同捜査に参加し、インドネシアとの共同捜査でのサイバー犯罪摘発などを行ってきた。特捜隊の解析作業が、中国や北朝鮮など国家を背景としたサイバー攻撃を名指しで非難する「パブリック・アトリビューション」にもつながっているという。

 発足した特捜部は、情報分析などを担う企画分析課と特別捜査課の2課で構成。専従職員の数は特捜隊発足当初の73人から100人になっていたが、今回129人に増え、都道府県情報通信部で解析などを担う兼務職員を含む全体の体制は300人超となった。トップの特捜部長には、佐藤快孝(よしたか)特捜隊長が警視正から警視長に昇任し、就いた。

 1日に警察庁内であった特捜部幹部任命式で露木康浩長官は「外国捜査機関との共同捜査などで得た情報を分析し、端緒にすることで、独自に容疑者を特定・逮捕するなどサイバー特捜部にしかできない捜査を進めてほしい」と指示。佐藤部長は報道各社の取材に「この2年間関わってきた国際共同捜査で日本の技術力、解析力、捜査力は海外から確実に認知、評価されてきている。日本のプレゼンスは向上しており、確固たるものにしていきたい」と述べた。(編集委員・吉田伸八

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