埼玉県は29日、県が実施した新型コロナウイルスの無料検査事業で、民間検査会社など3事業者による総額約9億6700万円の不正申請があったと発表した。県は同額を交付取り消しとし、事業者に返還を求めている。今後、刑事告訴も検討するという。

　県は2021年12月～23年3月、無料でPCR検査や抗原検査を受けられる事業を実施。国の交付金が財源で、県は検査を担った医療機関などに1回あたり約7千円の補助金を出した。

　県によると、今回不正申請が判明したのはメディトランセ（東京都、8億6176万円）▽メタボスクリーン（横浜市、7693万円）▽医療法人誠仁会なごやGLクリニック（名古屋市、2838万円）。

　いずれも埼玉県内に検査所を設け、実際には実施していない検査をしたかのように申請したり検査費用を過大に請求したりしていたという。検査を受ける人が記入する申込書を県が調べたところ、同じ名前や同じ筆跡のものが複数見つかるなどして発覚した。

　県は昨年3月、富士見市の事業者が検査数を水増しし、補助金を不正受給していたと発表。その後、他事業者についても検証を進めていた。（黒田壮吉）