北朝鮮IT技術者、日本企業から受注か 身分偽装も 国が注意喚起

編集委員・吉田伸八
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 警察庁経済産業省などは26日、北朝鮮のIT技術者が求人サイトを使って日本人になりすますなどし、日本企業から仕事を受注している疑いがあるとして、企業に対して注意喚起を出した。両省庁などは求人サイトや企業の担当者を集めた説明会を開き、これまでの捜査などで分かっている手口などをふまえ、対策をとるよう要請した。

 国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは2019年以降、北朝鮮のIT技術者について報告を出し、収入が北朝鮮による核・ミサイル開発の資金源になっている、などと訴えてきた。

 今回の注意喚起では、日本でも北朝鮮のIT技術者が、企業からウェブページやアプリ、ソフトの制作といった業務を受注している疑いがあると指摘。身分証明書を偽造するなどして国籍や身分を偽って求人サイトに登録する、といった手口を紹介し、サイトの登録名義と報酬を受け取る口座の名義が違うといったケースに注意するよう呼びかけている。技術者の多くは中国やロシアなどに住んでいるが、それを隠して作業しているという。

 北朝鮮に資金が流れることを認識して仕事を発注すれば、企業側が外為法などに違反するおそれがあるとも指摘している。

 警察庁は、日本の警察が2020年と22年、今月に摘発した三つの事件がこの枠組みに該当すると説明する。いずれも摘発したのは北朝鮮籍でなく韓国籍などの人物だが、大手求人サイトを通じて仕事を受注しており、資金の動きなどから北朝鮮側との関係が疑われるとしている。

 国連の専門家パネルが今月出した報告書によると、北朝鮮のIT技術者が得た収入のうち手元に残るのはごく一部で、残りは派遣会社が受け取り、多くは北朝鮮あての物品購入に充てられるという。報告書は、ある元技術者の推定として技術者が海外に3千人、北朝鮮国内に1千人いると指摘している。(編集委員・吉田伸八

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