「全ての被害者救済を」遺志を継ぎ判決に臨む 水俣病訴訟の原告団長
「これが最後のチャンスになる」。水俣病被害者救済法(特措法)の対象から漏れた人たちが全国4カ所で国や原因企業などに損害賠償を求める「ノーモア・ミナマタ2次訴訟」。その中の熊本訴訟で原告団長を務める森正直さん(73)は、22日の熊本地裁判決に強い思いで臨む。
水俣病と気づかず悩まされた症状
熊本県水俣市の8人兄妹の家庭に生まれ、不知火(しらぬい)海でとれた魚や貝を食べて育った。中学生の頃から手足のしびれや、からす曲がり(こむら返り)の症状に悩まされた。口がうまく回らず、授業での朗読をからかわれたこともあった。
だが、歩くこともままならず、言葉も発せられないような重い症状の水俣病患者が知人にいたこともあり、自身が水俣病だとは思わなかった。
高校卒業後はチッソの関連企業に就職した。水俣病被害者らが、メチル水銀を海に排出した原因企業のチッソに抗議で押し掛ける姿も見たが、深くは考えなかった。
転機となったのは2009年の特措法施行だ。友人らに勧められ、救済を申請したが認められなかった。
納得がいかず、民間医師団の…
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