マウンドでつぶやく、「大丈夫」 どん底を脱した選抜優勝投手のいま

有料記事横浜DeNAベイスターズ

安藤仙一朗
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 「今日やっと横浜スタジアムで投げられて、本当に素直に楽しめました」

 「『変わった自分を見せてやろう』という気持ちだったので、そこをしっかり出すことができたかなと思います」

 本拠での今季初登板を終えた横浜DeNAベイスターズの徳山壮磨(24)の言葉には、実感がこもっていた。

 15日の楽天とのオープン戦。七回から3番手でマウンドに上がった。

 先頭打者に、いきなり自己最速を2キロ更新する154キロを投げ込んだ。速球を続ける。153キロ、154キロ、154キロ……。

 フルカウントからの6球目も、速球だった。最速をさらに更新する156キロでバットに空を切らせた。

 後続も150キロ中盤の速球でゴロに打ち取り、15球で三者凡退に抑えた。

 7年前の選抜優勝投手だ。大阪桐蔭高のエースとして、全5試合で計39イニングを投げる大車輪の活躍を見せた。

 進学した早大でも1年春から東京六大学リーグで先発投手として活躍。3年の春季リーグで最優秀防御率のタイトルを獲得するなど、チームの柱だった。

 エリート街道を歩み、2021年のドラフト会議で即戦力の期待を受けてDeNAに2位指名で入団した。

 だが、2年たっても1軍デビューを果たせていない。去年の今頃は、まともに投げることすらままならず、もがいていた。

 徳山は自身の性格を「完璧主…

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2024年3月22日6時30分 投稿
    【視点】

    自分の弱さと向き合うことができる、自分の弱さを認めることができる。その尊さを教えてくれる、徳山壮磨投手のストーリーです。 「『引っかけてもいい』と思うことで自分の中に余裕が生まれた」。そう、徳山投手は語っています。「マウンドに立てる喜びを

    …続きを読む