福島第一原発の処理水、今年度の放出完了 計4回でタンク30基分

福島第一原発の処理水問題

佐々木凌 福地慶太郎
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 東京電力福島第一原発処理水の海洋放出で、東電は17日、今年度最後となる4回目の放出を完了したと発表した。政府や東電などが周辺の海水や魚の放射性物質の濃度を調べているが、異常はみられていないという。

 東電によると、4回目の放出は2月28日に開始した。今月15日には福島県内で最大震度5弱を観測した地震があり、設備の確認のために約15時間半にわたって放出を停止した。放出関連設備の被害はなかったという。

 福島第一原発には1千基超の貯蔵タンクがあり、貯水量は132万9千トン(3月7日時点)。汚染水を多核種除去設備(ALPS=アルプス)に通し、大半の放射性物質を除去した水などをためている。

 今年度は、約30基分にあたる約3万トン分を4回に分けて海水で希釈しながら放出した。含まれるトリチウムの総量は約5兆ベクレルで、計画で定めた年間放出量の上限22兆ベクレルの2割余りだった。

 来年度は7回に分けて約5万4600トン分を放出する予定で、含まれるトリチウムの総量は約14兆ベクレル。空になったタンクの解体にも着手するという。

 東電の計画では、廃炉完了の目標となっている2051年までに処理水の放出も終える。だが、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)が残る建屋に雨や地下水が入り込み、処理水のもととなる汚染水が今も増え続けていて、51年までに終わるかは不透明だ。(佐々木凌、福地慶太郎

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