3月11日の朝食に出した得意のオムレツ 亡き妻の夢だった食堂で
原篤司
北上川沿いの民泊兼食堂「まがき」の朝食に並んだのは、近所で採れたシジミのみそ汁や得意のオムレツだ。
一人で切り盛りする店主の遠藤仁雄さん(69)は11日朝、宿泊客6人の朝食の準備に追われた。「あえて忙しくして、つらい気持ちを紛らわせてきた」
2017年5月、宮城県石巻市大川地区の復興団地の自宅の2室を宿にした。横には15席ほどの食堂。厨房(ちゅうぼう)に立つと、浮かぶのは妻祐子さん(当時54)の顔だ。「代わりに夢をかなえた俺を、うらやましがっているだろうな」
あの日、仙台市内で仕事中に激しい揺れに見舞われた。「家の中がめちゃくちゃだけどみんな無事」。自宅の祐子さんからメールが届いたが、電話をかけても通じない。
翌日、船で自宅にたどり着いたものの、1階の壁は津波で流され、祐子さんや同居する両親の姿がなかった。
少し下流の大川小学校で84…
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