大振り脱却でロッテ山口航輝が存在感 「和製大砲」誕生へ高まる期待

千葉ロッテマリーンズ

清水優志
[PR]

(9日、プロ野球オープン戦 千葉ロッテマリーンズ5―8福岡ソフトバンクホークス)

 若き「和製大砲」候補が、開幕に向けて猛アピールを続けている。

 1点を追う三回2死一、三塁。千葉ロッテマリーンズの4番山口航輝は、今季の開幕投手が決まっているソフトバンク有原航平のツーシームを逆らわず逆方向へ。フェンス手前ではねた打球は、右中間への逆転2点適時打となった。

 ぎっくり腰春季キャンプ初日から別メニューだったが、その影響はみじんも感じさせない。これでオープン戦は9打数5安打、5割5分6厘。対外試合では9戦連続安打中で、「いい準備ができている」と好調を実感している。

 秋田・明桜出身の23歳。高校時代は投手としても活躍し、2年夏の2017年の全国高校野球選手権秋田大会では、決勝で金足農の吉田輝星(現・オリックス)と投げ合い、甲子園への切符をつかんだ。

 高校生離れしたパワーを買われ、18年秋のドラフトでロッテから外野手として4位指名を受けると、徐々に潜在能力が開花。一昨年は本塁打16本、昨季はチームで日本選手最多の14本をマークした。今季は「開幕4番をめざす」と公言し、更なる飛躍を誓う。

 キャンプ中から村田修一打撃コーチらと取り組むのが、この日のような逆方向への強いライナーを放つ意識だ。昨年まで見られた大振りでの凡打は減り、打撃に安定感が生まれている。

 これまでの対外試合で本塁打は出ていないが、打球は鋭い。「大きいのはいつかでるだろうと信じて、(本塁打は)あまり狙わずにやってます」と焦りはないようだ。

 昨季は26本を放ったポランコが本塁打王に輝いたが、チームは長年、長打力不足に悩まされてきた。1992年に千葉へと本拠地を移して以降、チームでの日本選手のシーズン最多本塁打は、初芝清が95、98年に記録した「25本」にとどまる。外野方向から強く吹く海風が、強打者の前に立ちはだかってきた。

 文字通りの「逆風」の中でも、山口はあえて高い目標を掲げる。「ホームラン30本は、この世界で達成したい目標。ずっとそこは変えずにいきたい」

 生え抜きの大砲誕生を、チームは心待ちにしている。(清水優志)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら