いまも学校に悟空のイラスト 鳥山明さん死去、故郷・愛知でも悼む声

小原智恵 松永佳伸

 「ドラゴンボール」や「Dr.スランプ」など多くの人気漫画作品を残し、68歳で亡くなった鳥山明さんは愛知県清須市出身だった。市内の図書館の広報誌のためにインタビューに答え、県内のゆかりの学校には絵やサインが飾られ、故郷を愛した漫画家だった。

 鳥山さんは1月、2025年の清須市市制20周年に向けた記念ロゴを贈ったばかりだった。永田純夫市長は「市にゆかりのある先生にロゴを描き下ろしていただき光栄だった。しっかりと使わせていただきたい」と話した。直接の交流はなかったが、作品を通して鳥山さんに触れてきた永田市長は「鳥山先生は世界的な漫画家で年代、国境を越えて大活躍された。これからまだまだ活躍されるご年齢だったので残念でなりません」と突然の別れを惜しんだ。

 同市の市立図書館は18年に鳥山さんのもとでアシスタントを務めたまつやまたかしさんのイラスト展をきっかけに、図書館だよりで鳥山さんの独占インタビューを実現。担当した図書館職員の竹内麻衣さんは当時、文書でやりとりする形でインタビューをしたといい、「ユーモアがあり、心の広い方だなと感じた」と話す。

 図書館では鳥山さんの作品97冊を所有しているが、人気で常に多くが借りられている状態だという。訃報(ふほう)を受け、残り少ない本で追悼のコーナーを設けた。竹内さんは「清須市に足跡を残してくれた漫画家だった」と悼んだ。

 県内のある学校には今もドラゴンボールの孫悟空のイラストとサインが飾られている。子どもの頃、鳥山さんの特別授業を受けた30代男性は「気さくで気取らず身近な印象を持ちました。『ドラゴンボール』の世代ではなかったので帰宅してすごい人だと知ってびっくりした」とふり返る。

 名古屋市中区栄3丁目の書店「丸善名古屋本店」では、急きょ追悼コーナーを正面入り口に設置した。代表作の「ドラゴンボール」の漫画本が並べられ、買い求める人の姿もあった。副店長の藤堂恒平さんは「驚いて足を止める人が多くいた。地元出身で誰でも知っている人気がある方なので反響も多い」と話す。出版社に追加注文をし、追悼コーナーを拡大するという。小原智恵、松永佳伸)

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