福島第一原発、目標の2051年に廃炉できる? 東電責任者の答えは

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聞き手・福地慶太郎 佐々木凌
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 三つの原子炉で「メルトダウン」が起きた東京電力福島第一原発の事故から13年。政府と東電は2051年までに廃炉を完了させる方針を掲げていますが、最難関作業とされる溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しは、試験的な取り組みすら延期が続き、いまだに着手できていません。51年までの廃炉完了は本当にできるのでしょうか。廃炉・汚染水対策最高責任者で、東電福島第一廃炉推進カンパニーの小野明代表に聞きました。

「約束破り」と言われた処理水放出は…「政府の判断」

 ――処理水について、東電は15年に福島県漁連に「関係者の理解なしにはいかなる処分もしない」と文書で約束しています。ですが、昨年8月に同県漁連が反対する中で放出を始めました。福島の漁業者からは「約束が破られた」との声も上がりました。

 「政府が『一定の理解を得た』という判断で関係閣僚会議で放出開始を決定し、我々はその決定を重く受け止めて、放出を始めた。いま4回目の放出をしているが、海域モニタリングの結果に異常はみられず、IAEA(国際原子力機関)の調査でも安全に放出できていると確認されている。風評対策と、損害が発生した時の迅速な賠償にも取り組んでいるところだ」

 「漁業者の方々の意見は、我々もうかがっている。放出が終わった段階で、漁業関係者のなりわいが継続していることを確実にすることが我々の責務。それをしっかり果たすことに傾注したい」

 ――漁業者の反対をよそに、21年に政府が海洋放出を決め、東電が工事や手続きを進めたプロセスに不満を持つ方もいました。進め方を振り返って、今どう思いますか。

 「振り返るのではなくて、い…

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