「よりよい睡眠、考えた」 さとえ学園小とNTT東日本

岩堀滋
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 よりよい「睡眠」を目指して、児童が自分たちのデータを計測・分析して探究的な学習につなげる取り組みが、さいたま市内の私立小学校であった。「スリープテックプロジェクト」と名付けられた試みで、児童は「よい寝室環境のための温度」などに関する仮説を立て、具体的な方策を調査。その成果を、教員や保護者らに発表した。

 このプロジェクトは、NTT東日本埼玉支店と私立さとえ学園小学校(同市北区)が連携。昨年10月から授業を重ねてきた。

 同校では児童全員が中学受験を目指すといい、学校側は、睡眠時間が減ると健康も勉強の質も悪化しかねないと懸念していた。

 そこに、同支店がプロジェクトの実施を提案した。NTT東日本は最新技術の応用を通じて地域や教育への貢献を目指している。

 授業には4年生の男女計78人が取り組んだ。昨年10月から、最適な睡眠のあり方をアドバイスする資格を持つNTT関連会社社員に睡眠環境の大切さなどの基礎知識を学び、7チームに分かれて研究を重ねた。

 眠っている時の体内のリズムを踏まえ、最適な布団やエアコンの運転時間はどのくらいかなどについて仮説を立て、インターネットを駆使して調べた。

 また、自分のデータを研究に採り入れるため、児童たちは計測機器を身につけて就寝。睡眠時間の長さや寝床の温度、いびき、寝返りの回数などを測った。

 データは解析アプリで「睡眠スコア」として点数化。児童はスコアの向上を目指し、睡眠環境の改善に取り組んだ。この結果、78人全体の平均睡眠時間は当初と比べて40分ほど延びたという。

 こうした研究結果を、児童たちは今月22日に発表。「軽い羽毛布団がよく、就寝後30分程度でエアコンは運転停止したほうがいい」といった成果を披露した。

 終了後、高桑知衣里(ちえり)さん(10)は「人生の3分の1は睡眠なので、よりよく寝たい。仮説を立てて調べるのは楽しかった」。岡田紀智(きさと)さん(同)は「睡眠を気にするようになった。自分の興味分野を体験しながら研究するのは面白い」と振り返った。

 同校科長の山中昭岳さんは「睡眠は子どもたちに身近でわかりやすいテーマ。ICT(情報通信技術)も活用し、データをもとにプレゼンする能力を今後の学習に生かしてもらえたら」と話した。

 同社は今後も同校とこの取り組みを重ねる。他校や企業などとの連携も模索する方針だ。岩堀滋

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