小澤征爾さん、体育館でみせた本気の演奏 水戸から惜別と感謝の声

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張守男 忠鉢信一
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 世界的指揮者小澤征爾さんが88歳で死去した。小澤さんは1990年に水戸芸術館水戸市)の開館時から楽団の顧問を務め、2013年からは館長として、水戸の音楽文化の発展に尽力してきた。訃報(ふほう)を受け、茨城県内から惜しむ声が聞かれた。

 水戸芸術館によると、1990年の同館開館時に水戸室内管弦楽団を結成し、小澤さんが同楽団顧問に就任した。小澤さんの恩師でもあった初代館長で音楽評論家吉田秀和さんが亡くなり、13年4月から後任の館長に就任して楽団の総監督にもなった。

 吉田さんと小澤さんは、いわゆる師弟関係の間柄で、吉田さんは桐朋学園大音楽学部の母体となった「子供のための音楽教室」を48年に設立。その1期生の一人が小澤さんだった。小澤さんは「『子供のための音楽教室』なくして、今の僕は存在しない」と話していたという。2004年から水戸室内管弦楽団も「子どものための音楽会」を始めた。

 小澤さんは13年4月の就任会見で、芸術館について「市民に支持されて愛されていることがわかった」と引き受けた理由を述べ、「水戸はブラスバンドが優秀」といい、「芸術を、わかりやすく親しみのあるものにしたい」と意気込みを語った。

 小澤さんが水戸で最後に指揮をしたのは19年5月の演奏会。30分間、椅子に座って指揮した。水戸では17年10月以来1年半ぶりの公演となり、すべての演奏が終わった後、会場は大喝采に包まれ、観客がスタンディングオベーション。小澤さんは客席に向かって何度も深くお辞儀した。

 1989年から親交のあった同館副館長の大津良夫さん(68)は「長い間水戸芸術館で、世界的レベルの音楽を生で多くの人たちに聴いてもらおうと全力を注いで頂きました。本当に感謝の念しかありません」と話した。

行きつけの居酒屋店主は

 水戸市内であった子どものた…

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