窓の外に見たヘイトスピーチに「なぜ」 映画監督が考える共生への道
映画監督の成島出さんは昨年1月、「ファミリア」という映画を公開しました。役所広司さんの主演で、日本社会に翻弄(ほんろう)される日系ブラジル人の若者らを描いた作品です。日本社会が外国ルーツの人々と一緒に生きていくには、どうすればいいのか――。在日外国人の多い街で暮らした経験も持つ成島さんに、話を聞きました。
――映画「ファミリア」では、日系ブラジル人の青年が「日本人にもなれない、ブラジル人でもない、俺らって何なんだよ!」と叫ぶ場面が、とても印象的でした。
ブラジル人の子たちの役は、ほとんどあて書きなんですよ。その役を演じたサガエ・ルカス君は、パスポートはブラジルだけど、20歳近くになっても祖国に行ったことがない。
映画を作るにあたって、オーディションなどで、愛知県や群馬県、静岡県で3カ月くらいの間に数百人の日系ブラジル人のお話をききました。そしたら、同じような話が至るところで出てくる。こういう叫びは、みんな持っているんだと思います。アイデンティティーが本当に複雑になっていると思います。
でも、その中でも幸せの形は絶対あるわけで。私は、どんな人でも幸せになる権利があると思っています。我々日本人と彼らと、痛みを分かちあったり、喜びを分かちあったりすることが、共生していくためには必要だと思っています。
後半では、成島さんの考える共生への道や、映画で社会問題を扱うことの難しさや意義についても聞きました。
中に入って考えたヘイトの理由
――在日外国人が多い地域に住んだ経験があると聞きました。
ちょうど韓国に対するヘイト…
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