トランスジェンダーの市議に議長が「おっさんだがや」と発言 愛知

中村真理 浦島千佳
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 出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダーを公表している小嶋小百合・愛知県春日井市議(70)が、村上慎二郎議長(53)から懇親会の場で、「おっさんだがや」との発言を受けていたことがわかった。小嶋市議は「ジェンダーアイデンティティーを真っ向から否定された」として、村上議長とともに所属していた会派「市民クラブ」を1月30日付で離脱した。

 村上議長は取材に対し、発言を認め、「親しみやすいキャラクターと知ってもらうための発言だった。深く傷つけてしまい、反省している」と話している。

 両議員によると、1月19日夜に開かれた懇親会で、小嶋市議が、同日昼につまようじを口にしながらパソコンを打っていた行為について、村上議長が「おっさんだがや」と発言したという。

専門家「大切にしているアイデンティティーの否定になる」

 この懇親会には、議会報編集委員会のメンバーである小嶋市議をはじめとする議員、議長、副議長や事務局職員ら計15人が参加。小嶋市議は発言を受けた後、動悸(どうき)や不眠などの症状が出て、自律神経失調症と診断後は休養しているという。

 小嶋市議は「みんながいる前で大声で何度も言われた。やり過ごしたらいつまでもなくならないと思った」と会派離脱の理由を語る。

 ジェンダー論が専門の風間孝・中京大教授は、「本人が生きたいと望んでいる性とは違う性で表現することは、本人が大切にしているアイデンティティーの否定になる」と指摘。今の社会では、生まれた時の性と異なる性で生きることには大きな困難が伴うといい、「そうした苦労を軽視した発言で問題だ。トランスジェンダーが置かれている状況への理解が不足している」と話す。(中村真理、浦島千佳

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